「トランスアメリカ」


男性として生まれながら男性であることに違和感を持つ、トランスセクシャルのブリー。
彼(彼女)が性転換手術を受ける日を1週間後に控えたある日、
トビーという少年が突然現れる。
彼はブリーが男性だった頃につくった、自分の息子だった。
ブリーは親子であるという真実を息子に告げることなく、
彼とNYからLAへの旅に出る・・・
不思議な親子愛を描いたロードムービー


息子は継父による性的幼児虐待で家を飛び出し、男娼として生活費を稼ぐ生活をしていて、
父親(母親)は性同一性障害を持つが故、家族とは離れて一人で暮らしていた。
こんなフツーではない親子が徐々に心を通わせていく過程を
ほのぼのと、時にはユーモラスに描いている。
こころあたたまる作品なのだ。


トランスセクシャルのブリー役の俳優さんは、
男の人が演じているにしてはやけにリアルだなあ、
もしかしてホンモノのゲイの人なのかなあと思って観ていたのだが、
あとでパンフレットを見たら、
なんと、フェリシティ・ハフマンというれっきとした女優さん、
つまり正真正銘の女性らしい。
騙された。
この人、知らなかったけど、たいした女優さんだねえ。
立ちションするシーンだってあるんだよ。
(ネタバレだから詳しくは書かないけど、これが結構重要なシーンなのだ)
この人の演技だけでもこの映画を観る価値があると思う。


劇中で久しぶりに再会するブリーの父親は、
下ネタバリバリのなんとも下品なおっさんなのだが、
この人どこかでみたことあるなあ、と思っていたら、
映画「ロッキー」の”エイドリア〜ン”の兄貴役の人だった。
この人は下品だけどどこか憎めない男の役をやらせるとピカ一ですな。


劇中で元男の女性たちが、
ペニスのおもちゃを”キアヌ2”とか”キアヌ3”とか呼んでいた。
キアヌ・リーブスが若い頃に出演した「マイ・プライベート・アイダホ」という
ゲイの映画があるが、これと関係あるのだろうか。
この映画もロードムービーなんだよね。