マッスル15とBACK STAGE OF MUSCLE


北沢タウンホールで9月5日から3日間、開催された「マッスル15」がサムライTVで3週連続で放送され、そのあとの週に舞台裏を追ったドキュメンタリー「BACK STAGE OF MUSCLE」が放送された。




まずは「マッスル」を知らない方のために。


以下Wikipediaより抜粋〜


マッスルとは、DDTプロレスリング内の別ブランドとしてマッスル坂井により始められた全く新しいスタイルのプロレス大会である。


「行こうよ!プロレスの向こう側!」というキャッチコピーに象徴されるように、一般的なプロレスという枠をはみ出したところで興行を成立させている点が最大の特徴である。プロレスとしてのファイトを見せるシーンをはさみつつも、「プロレスを考えるプロレス」を題目に掲げたり、〜中略〜他団体からの影響も見せつつも、一味違った演出を持ち味としている。


抜粋終わり〜


以前マッスル坂井はインタビューで、「マッスルで岸田戯曲賞をとりたい」という発言をしている。
岸田戯曲賞という社会的に認知された賞をとることによって、世間に認めさせたいということらしい。
これはある意味、猪木が当時現役のボクシング世界チャンピオンだったモハメド・アリと戦うことによって、プロレスに対する偏見を持つ世間に戦いを挑んだことと同列に語られるべき。
かどうかはわからない。


リング上を控え室にみたてて、「別会場」で行なわれる試合を選手がスクリーンで観戦する、というアイデアや、笑点やフィギアスケートをテーマにしたりと、常に斬新なものを見せてくれている。
プロレス興行史上初めて「追加公演」をやったことも話題になった。




しかし今回は3日間興行だが、全て違う内容のものをやるという。


9.5北沢タウンホール


意表をついて、「普通の」プロレス団体のような入場式から始まる。
意外なスタートだが、そのあとやはりいつものマッスルに戻る。
スローモーションもいつも通り。
しかしサプライズゲストはなし。
1時間弱で終わってしまい、なんだか消化不良。
はっきりいって、本編のあとのおまけ映像の方が面白かった。



9.6北沢タウンホール


「プロ剣道」ネタはツボに入った。
柔道や空手、レスリング出身のレスラーは飛び級扱いなのに、なぜ剣道出身者を無視するのだ!という主張は馬鹿馬鹿しいけど、妙に納得してしまう。
ラストでなんとウルティモ・ドラゴン登場。
たしかにサプライズではあるが、本編にからむわけではなく、本当にゲスト扱いだったので特になんということもない。
おまけ映像では、早速初日の出来の悪さを自虐ネタにしていた。



9.7北沢タウンホール


オープニングテーマなしで、いきなり「ダークマッチ」という意外なスタート。
普通にオチのないプロレス。
それも3試合続けて。
しかし何かの予感を感じさせる始まり方だった。
そのあとオープニングがスタートし、「戦わず嫌い王決定戦」とようやく普段のマッスルに。
しかし休憩後、突然「エヴァンゲリオン」ネタとなり、マッスル坂井の内面世界に入っていくという急展開。
そして最後に「プロレスが苦手な」マッスル坂井VS「プロレスの若き天才」飯伏幸太の「真面目な」プロレスをみせる。


プロレスをやらないというのが定説になっていたマッスルでプロレスをやる、という意外性で最後は勝負したようだ。



BACK STAGE OF MUSCLE


かつて「ビヨンド・ザ・マット」というドキュメンタリー映画があった。
WWF(現WWE)の舞台裏を描いたもので、試合前の打ち合わせ風景なども映し出されており、当時は衝撃的だった。
これはその日本版ともいえるし、ある意味それ以上かもしれない。
イデア会議から(台)本読みや立ち稽古まで全てをみせていた。
いまさらマッスルのそんな舞台裏を見て衝撃を受ける人はいないだろうが、こうやってつくってるんだな、というのがわかって非常に興味深い。
初日が始まっているのに、3日目の台本が書き終わらないマッスル坂井の苦悩がハイライトになっていた。
舞台裏は修羅場だった。
これを見ると3日間の興行がなぜこうなったのか、というのがよく理解できた。




プロレスをやらないプロレス興行という独自性がマッスルの真骨頂だったのだが、それが定着してきたところで今回は真面目なプロレスを最後にみせ、観客を良い意味で裏切ったと思う。
でもこのあとはどうするつもりなんだろう。
ますます目が離せませんな。


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