「その街のこども 劇場版」を観た

阪神淡路大震災から15年目の1月17日の前日。
震災以来、初めて神戸に戻った男(森山未來)と女(サトエリ)が偶然出会う。
主な登場人物は2人だけ。そして、ほぼ全編、深夜の神戸の街を歩いているだけ。
何も事件は起こらないし、2人が恋愛関係になる訳でもない。


最初はよそよそしく、全く気が合わない2人が、子どもの頃に震災で受けた心のキズを少しずつ、お互い打ち明け合い、次第に心を通わせていく。


登場人物の、神戸に対する複雑な感情と、夜通し歩きながら変化していく心の動きを、説明的なセリフや情景描写にたよらずに、自然なセリフと表情とカット割りで、ちゃんと伝えているところが素晴らしい!
そして、最後の方のシーンで、サトエリが柔らかくてとても良い表情をするのだ。


大友良英の音楽も最高!
元々ジャズの人らしいけど、この映画の音楽は、ブリティッシュ色が強く、マイ・ブラディ・バレンタインのケヴィン・シールズみたい。


ちなみに主演の2人は、実際に震災を体験しているということを観たあとに知った。
2人の妙に説得力のある演技の意味がわかった。


思わず涙腺が緩んでしまった自分的には、星5つ!☆☆☆☆☆