「マリー・アントワネット」を観たのだ。


☆☆☆


マリー・アントワネット
 製作国:アメリ
 監督・製作・脚本:ソフィア・コッポラ
 出演:キルステン・ダンストジェイソン・シュワルツマン


前作の「ロスト・イン・トランスレーション」でも感じたのだけれど、監督のソフィア・コッポラは、アメリカ人には珍しく音楽の趣味がかなりイギリス寄りなんだな。
この映画でも、18世紀のフランス宮廷が舞台でありながら、パンク/ニューウェーブ以降のブリテッシュ・ロックやテクノが全編に使われていて、そのへんが斬新。
舞踏会や夜会の場面でスージー&ザ・バンシーズやエイフェックス・ツインが流れるのだ。
主人公の母親、マリア・テレジアを「スウィンギング・ロンドン」の申し子、マリアンヌ・フェイスフルが演じているのも興味深い。



この映画のマリー・アントワネットは、普通の明るい遊び好きな現代の女の子と変わらない存在として描かれている。
友人とダベリながらスイーツを食べたり、クラブ(舞踏会)で夜遊びしたり、ロハスを楽しんだり、時にはイケメンと浮気もする。
その上、綺麗なドレス、かわいい靴、豪華なインテリアと、女の子が好きなものが次々出てくるんだね。
男にはなかなかこのへんの感覚がわからないんだな。



だから、ネットでこの映画の評判を見てみると、だいたい女性(と思われる人)の感想は「かわいい」「共感できる」、男性(と思われる人)の感想は「何が言いたいのかわからない」というのが多かったんだけど、ナルホドだね。
男はこの映画を歴史物だと思って観るからダメなんだね。
これはマリー・アントワネットという一人の女の子が若くして見知らぬ土地に嫁いで、いろんな事に悩みながらも、前向きに人生を楽しみながら生きていく青春映画だと思うんだな。
それ以上の意味なんてたぶんこの映画にはないんだと思う。



ラストの方で、ベルサイユ宮殿を取り囲んだ暴徒に対して、マリー・アントワネットが頭を下げるシーンが印象的。
考えてみたらこの時代には、好きなものを食べ、余暇を楽しむなんてことは、ほんの一握りの貴族階級しかできなかったはず。
だけど現代の先進国に生きる我々は、すでにルイ16世マリー・アントワネットみたいな暮らしをしているわけだ。



ちなみにマリー・アントワネットといえば、やっぱり「ベルばら」なのだが、この映画にオスカルは登場しない。




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