「絶対の愛」を観たのだ


☆☆☆☆


「絶対の愛」(原題TIME)
2006年韓国・日本
監督・脚本:キム・ギドク
出演:ソン・ヒョナ、ハ・ジョンウ


「時がたつにつれ、彼は自分に飽きてしまうかもしれない」
そんな不安から整形にふみきり、新しい顔になって恋人の前に現れる女と、真実を知らず、彼女を愛し始める男。
やがて真実を知った男がとる行動は・・・
大統領でさえ整形する”整形大国”韓国の整形を題材にした作品。


物語の後半で
「君は誰だ?」
「あなたは誰?」
というセリフが多用される。
自分を取り戻すために受けた整形手術で、結局は自分ではない誰かになり、世間に埋没していくサマが描かれている。


「異常天才」と呼ばれ、毎回驚きを与えてくれるキム・ギドク作品の中では、今作は比較的わかり易い題材で、そのためにあっさりストーリーが読めてしまうところはある。
しかし、世の中のタブーを極端なかたちで表現し、「あり得ない」と思いながらも物語に引きずりこんでいく力量はさすがなんである。




ところでこの邦題はダサくない?
よくある韓流メロドラマと思わせといて、オバちゃま達も動員しようとしたのだろうか?
もし騙されて観たオバちゃんがいたとしたら、かなり退いただろうな。
思い出すのは、おととし「親切なクムジャさん」の試写会を観に行ったときのこと。
この作品は「チャングムの誓い」のイ・ヨンエ主演ということで、オバちゃん軍団であふれかえっていたのだが、実はこの映画はパク・チャヌクの復讐三部作といわれ、血みどろのかなりエグい作品だったので、劇場全体が目に見えて退いていくのがわかって面白かったのだ。


キム・ギドクもインタビューで言っているが、日本の韓流ブームはTVドラマで作ってきたもなので、安易にスターを起用して同じようなメロドラマばかり公開してきた。
そしてそういう枠にとらわれない作品を評価する観客を育てていっていないところに問題があるように思う。




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