「バベル」を観たのだ
「バベル」(原題BABEL)
2006年アメリカ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ギジェルモ・アリアガ
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット
ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司
菊池凛子、アドリアナ・バラーザ
☆☆
モロッコ、メキシコ、日本の3箇所で、4つのエピソードが微妙に時間軸をずらしながら同時進行していく。
「失敗する可能性のあるものは失敗する」というマーフィーの法則を映画にしたような不条理劇。(ニューズウィーク映画評より)
日本人女優がアカデミー助演女優賞にノミネートされたおかげで、上映前からマスコミでかなり話題になり、全国ロードショーされているが、本来はミニシアターでひっそりと上映されるタイプの映画だと思う。
通常の娯楽映画とは作品のフレームワークが随分違うし、結構エグいシーンも多いからだ。
少なくともファミリーで観る映画ではない。
オレ様は地方都市の映画館で観たが、一緒に観た老夫婦と男子高校生3人組は、見終わったあと明らかに引いていた。
そして、口々におっしゃっていた言葉は、
「ロッキーにすればよかった・・・」
結論からいうと、そんなに大した作品ではない、と思う。
この映画のように、いくつかのエピソードが同時進行していく手法はオレ様は嫌いではない。
しかしこういう場合、バラバラになったピースが最後にピタリと合う瞬間が気持ちよいのだが、この作品ではついに最後までバラバラのままだった。
ま、「不条理劇」とはそんなものかもしれないが。
全然関係ないストーリーを無理やりつながりを持たせて、強引に1本の作品にしたような感じが否めないんだよね。
特に日本のエピソードは他のエピソードとつながりが薄く、とってつけたようで、必然性を感じない。
それに正直、菊池凛子がかわいくないんだよねえ。
ちょっと女子高生を演じるにはムリがあったと思う。
あと、思わせぶりの演出のおかげで、映画の途中まで、てっきり役所広司が4つのエピソードを集約させるキーマンに違いない、と深読みしたが、全然そんなことはなくて肩透かしを食ってしまったのだった。
異文化同士のすれ違いや誤解を描いている個々のエピソード、それ自体は理解できるんだけどね。
この映画を観て倒れた人が出た、というニュースを事前に聞いていたので、そのシーンが近づくと、ちょっとドキドキした。
別に何ともなかったんだが、光が激しく点滅する刺激的な映像だったことは確かで、気分悪くする人がいてもおかしくないわな。
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