「冷たい熱帯魚」

これは、相当エグい映画です。
熱帯魚店を営む気が弱い男が、詐欺師且つ殺人犯の男と出会い、彼のペースに巻き込まれ、共犯者となっていくお話で、95年に実際に起きた”埼玉愛犬家連続殺人事件”を下敷きにしている。


連続殺人犯を演じるでんでんは本当にハマり役で、この映画の成功の8割は、この配役ではないかとさえ思う。
でんでんが演じる男は、下町によくいそうな、明るく冗談好きでスケベな肉食系オヤジなのだが、この明るさと、猟奇的な殺人を平気で繰り返すギャップが、かえって人間の空恐ろしさを感じさせるのだ。


バラバラ殺人事件を扱ったこの映画は、ビジュアル的にかなりエグい。
しかしそれよりも、もっと恐ろしく感じるのは、どんなに恐ろしい犯罪の話であっても、観る側としては、どこかで人間的な救いを物語に求めるものだが、それさえも最後の最後まで裏切り続けることだ。


意外性のある展開に目が離せない、怖いけど極上のエンターテインメント映画。
自分的には星4つ!☆☆☆☆