「あしたのジョー」

たいがいこの手の映画は失敗するのは目に見えているんだが、この前観た「ヤマト」が意外にそんなに悪くなかったので、とりあえず観に行ってみた。


この映画は「ヤマト」のように、現代的にアレンジするのではなく、かなり忠実に原作に沿った内容になっていて、いかにアニメと同じシーンを実写で再現するか、という部分に力点が置かれていたように思う。
その点では、「三丁目の夕日」的に見事に60年代のドヤ街を再現していたり、力石徹を演じるために体脂肪率3%まで肉体改造した伊勢谷友介の肉体とか、香川照之演じる丹下段平の意外な完成度の高さとか、確かによくできていると思われる部分もあった。


しかし、原作に忠実にあろうするあまり、短い上映時間の中に物語を詰め込んでしまったため、肝心のシナリオは原作のエピソードを慌ただしく追っているだけで、登場人物のキャラクターの肉付けができていないから、ちっとも感情移入ができないし、ストーリー展開に説得力が感じられない。


果たして原作を知らない人は、純粋に一本の映画として楽しめたのだろうか?
少なくとも、原作を知っている自分にとっては、ひとつひとつの知っているエピソードを確認する作業に追われるだけで終わってしまった。


それにしても、香川照之は自他共に認めるボクシング狂だけあって、劇中、丹下段平がサンドバッグをたたくシーンがあるのだが、矢吹ジョーや力石徹よりもはるかに鋭いパンチを繰り出していたのはさすが。


本当は自分的には星1つな作品だが、香川照之のパンチに免じて星2つ!☆☆



ちなみに、70年にも石橋正次主演で実写版が撮られていたんですな。