DREAM と U

Dynamite!のまとめのつづき。



セミとメインの2試合は、日本の総合格闘技の未来と過去を象徴するようなカードだった。
それを佐藤大輔氏の煽りVは素晴らしいクオリティで表現していた。



青木真也VSエディ・アルバレス×


煽りVのBGMはPerfumeの「Dream Fighter


”最高を求めて 終わりのない旅をするのは きっと僕らが 生きている証拠だから 現実に打ちのめされ倒されそうになっても 前を見て歩く Dream Fighter”


文字通りDREAMを背負って立つファイター、青木真也は、「おれの時代」と言い切る。
そして人前ではばかることなく泣き笑い、親父想いの青木は、ギラギラした上昇志向とさわやかさをあわせ持つ男。
まるで少年マンガの主人公のよう。
不景気な時代だからこそ、暗い顔は見たくない。
時代はたしかに青木真也のような男を求めている。



田村潔司VS桜庭和志×


さわやかなセミとは一転、遺恨と怨念と歴史の重みを噛みしめるカード。
この試合は、UWFを知らない若いファンには意味がわからないだろう。
純粋な総合の試合としてみれば、ロートル同士の凡戦にすぎなかったから。
メインの前になぜかエンドロールが流れたのは、セミまでがDynamite!で、メインだけは他の試合とは別物という位置づけをしめしたかったに違いない。


それにしても煽りVから桜庭の入場までの流れが秀逸。
この試合のテーマは、UWFインターの同窓会マッチとなるのか?凄惨な遺恨マッチとなるのか?という点だったが、これをうまく煽っていた。
Vのなかで、仮面ライダーよろしくショッカーに捕まった桜庭は改造手術でレガースを足につけられる。
レガースはいうまでもなくUWFの象徴で、田村はいまでも試合でこれをつけることがある。
レガースを無理やりつけられた桜庭はひと言、「懐かしい〜」
そしてVが終わると、入場テーマとともに覆面をつけた桜庭と思しき選手がレガースをつけて登場。
おっ。と思わせといて、その正体はタイガースの下柳で、本物の桜庭はレガースをつけていない、いつものスタイルで登場。
桜庭の入場が終わると、いつものテーマで田村が登場。
足にはレガースをつけている。


入場まででここまでドラマを見せる試合があるだろうか。
個人的にはここまで見れたら十分満足で、そのあとの試合はオマケみたいなもんだった。
もちろんこの試合が少なくともあと5年早く行なわれていれば、と思う気持ちもあるけど。