「台北の朝、僕は恋をする」

ヴィム・ヴェンダース プロデュースの台湾映画。


パリに行ってしまった恋人を追いかける旅費を稼ぐために、怪しい不動産屋のオヤジの依頼で運び屋を引き受ける主人公。
その運ぶ”モノ”を狙って主人公を狙う男たち。
それに巻き込まれる本屋でバイトする少女。
事件を察知して、彼らを追う刑事。


と、断片的にあらすじを言葉で書くとサスペンス物かと勘違いするが、これが全く意表をついて超ユルユルのほのぼの映画。
登場する人物たちは皆どこかボンヤリしており、それぞれの行動の理由付けが観ている方にイマイチ伝わらない。


雰囲気は悪くないが、かといって特別称賛すべき点も見当たらない、何とも言いようのない作品。
でも、女子はこーゆーの好きな人多いんだろうな。


個人的にはビミョーな作品だけど、ヒロインの女の子が超キュートだったので、星3つ!☆☆☆



東京で地震にあうということ

地震の日に帰宅難民として感じたことを、自分へのメモ書きとして。


・携帯(の電波)はいざというとき役に立たない。
・しかしネットは停電しない限り最後まで生きている。
ツイッタースカイプは緊急時に有効。
・だからインフラとしてWIFIの普及は重要。
ツイッターは緊急時の連絡・情報収集には非常に有効だが、デマも拡散しやすい。
・携帯はダメでも、ワンセグは使える。
スマートフォンは便利だが、充電対策が必要。
・インフラとしてのコンビニの重要性。
・深夜営業のファミレス、24時間営業のネットカフェのありがたさ。
・何より頭をフル回転させて、これから起こることを予測し、最善の策をとることに集中することが重要。

九日間過ぎて

この一週間あまり、多くの人と同じように、生まれて初めての体験を色々としてきて、考えることもたくさんあった。
別に答えがでたわけではないが、自分にとって本当は何が必要で何が必要でないのかを考えるようになった。



話は変わるが、先日TVにて、あるNPOの人が、
「被災地以外の地域に住む人が質素倹約することは、直接被災地の人を助けることにはならないけれど、いま日本人皆が我慢し、国民が一体となって頑張ることに意味がある」
というような発言をしていた。
心情的には理解できるし、いかにも日本人的な美徳感だとは思うが、合理的な考え方ではないと思った。


もちろん、(東日本では)節電は必要だし、意味の無い生活必需品の買い占めは厳に慎むべき。
しかしそれ以外に直接的な被災地以外の地域に住む者としてできることは、できるだけ普段通りの消費生活をすることだと思う。
できるだけ経済活動を止めないことが、回り回って被災地の方の支援につながると思う。



当ブログでも、引き続きアホなことを書き続けたいと思います。

「あしたのジョー」

たいがいこの手の映画は失敗するのは目に見えているんだが、この前観た「ヤマト」が意外にそんなに悪くなかったので、とりあえず観に行ってみた。


この映画は「ヤマト」のように、現代的にアレンジするのではなく、かなり忠実に原作に沿った内容になっていて、いかにアニメと同じシーンを実写で再現するか、という部分に力点が置かれていたように思う。
その点では、「三丁目の夕日」的に見事に60年代のドヤ街を再現していたり、力石徹を演じるために体脂肪率3%まで肉体改造した伊勢谷友介の肉体とか、香川照之演じる丹下段平の意外な完成度の高さとか、確かによくできていると思われる部分もあった。


しかし、原作に忠実にあろうするあまり、短い上映時間の中に物語を詰め込んでしまったため、肝心のシナリオは原作のエピソードを慌ただしく追っているだけで、登場人物のキャラクターの肉付けができていないから、ちっとも感情移入ができないし、ストーリー展開に説得力が感じられない。


果たして原作を知らない人は、純粋に一本の映画として楽しめたのだろうか?
少なくとも、原作を知っている自分にとっては、ひとつひとつの知っているエピソードを確認する作業に追われるだけで終わってしまった。


それにしても、香川照之は自他共に認めるボクシング狂だけあって、劇中、丹下段平がサンドバッグをたたくシーンがあるのだが、矢吹ジョーや力石徹よりもはるかに鋭いパンチを繰り出していたのはさすが。


本当は自分的には星1つな作品だが、香川照之のパンチに免じて星2つ!☆☆



ちなみに、70年にも石橋正次主演で実写版が撮られていたんですな。

「冷たい熱帯魚」

これは、相当エグい映画です。
熱帯魚店を営む気が弱い男が、詐欺師且つ殺人犯の男と出会い、彼のペースに巻き込まれ、共犯者となっていくお話で、95年に実際に起きた”埼玉愛犬家連続殺人事件”を下敷きにしている。


連続殺人犯を演じるでんでんは本当にハマり役で、この映画の成功の8割は、この配役ではないかとさえ思う。
でんでんが演じる男は、下町によくいそうな、明るく冗談好きでスケベな肉食系オヤジなのだが、この明るさと、猟奇的な殺人を平気で繰り返すギャップが、かえって人間の空恐ろしさを感じさせるのだ。


バラバラ殺人事件を扱ったこの映画は、ビジュアル的にかなりエグい。
しかしそれよりも、もっと恐ろしく感じるのは、どんなに恐ろしい犯罪の話であっても、観る側としては、どこかで人間的な救いを物語に求めるものだが、それさえも最後の最後まで裏切り続けることだ。


意外性のある展開に目が離せない、怖いけど極上のエンターテインメント映画。
自分的には星4つ!☆☆☆☆


「キック・アス」

この映画は、元々はハリウッドに企画を持ち込むも断られ、自主映画として製作したところ、あれよという間に北米で初登場1位を記録したらしい。

日本でも、当初は全国でたった4館での上映だったのが、口コミで話題となり、徐々に上映館が増えている作品。


スポーツも勉強もできず、コミックと巨乳が大好きな一人のオタク高校生が、なぜか通販で購入したウエットスーツを着てヒーローになりきり、悪と闘うお話。


非常に弱いくせに正義を愛する主人公は、悪を懲らしめようとして、そのたびにチンピラに刺されたり、麻薬密売組織に捕まってリンチされたりする。
しかし完全になりきっている主人公は、たとえ病院に担ぎ込まれようともヒーローをやめようとしない。


純粋にヒーローをやり遂げようとする主人公のバカさ加減と心意気に、観る側はあきれながらも拍手を送りたくなるのだ。


また、動画サイトをきっかけに一夜にして人気者になってしまうくだりも、今っぽいし、妙に説得力がある。


町山智浩監修の字幕スーパーも、この映画のテンポのよさを活かしていると思う。
主人公が好きな巨乳専門エロサイトのサイト名を”ビーチク・ドットコム”と意訳するあたり、ステキすぎるセンス!



自分的には、至上のおバカ映画に、星5つ!☆☆☆☆☆